先日、ドイツのテレビでショッキングなニュースを見ました。
お題は、ノルウェーでの子どもの権利保護について。
ニュース番組について
arteという、ドイツとフランス共作のテレビチャンネルでやっていた番組です。
番組では、ノルウェーと韓国の子どもの現状について紹介していました。
その動画の最初の部分(8分ほど)を要約して、日本語に訳しました。
意訳も含まれています。あしからず。
※以下の画像はすべてARTE MEDIATHEK | ARTE | ARTE Reportage © 2016 G.E.I.E.,ARTE G.E.I.E.からの引用です。
要約
導入:韓国人女性の話
韓国では、現在若者が減っています。
親の世代のように「働くだけの人生」に嫌気がさし、海外へ行く人が増えているからです。
子どもを抱いた韓国人女性:
「韓国では、家族、子どもや夫と一緒に時間を過ごすのは不可能に近いです。
北ヨーロッパでは家族との時間を大切にすると聞きました。
そのため、(北ヨーロッパに)引っ越してくることを決めました。」
レポーター:
「北ヨーロッパでは家族が一番大事、、、それは本当のことでしょう。
特にノルウェーは、社会保障の手厚さや経済の状況から
スカンジナビアのみならず多くのヨーロッパの国々の手本となっています。
今日は、そんなノルウェーの驚くべき暗い面について見ていきたいと思います。」
子どもの権利を保護する機関:Barne Vernet
ノルウェーには「Barne Vernet」と呼ばれる、子どもの権利を保護するための政府の機関があります。
この機関は1992年に「すべての子どもが健全な幼少時代を過ごせるように手助けをする」という目標の下に設立されました。
Barne Vernetによって子どもと引き裂かれた家族は、この機関に警鐘を鳴らしています。
子どもを強制的に連れ去られた親の話
父親1:
「私の娘は、生まれて2日目に病院から連れ去られました。私には父親になるチャンスすら与えられなかったのです。」
母親1:
「2年半前に、私の2人の息子が連れ去られました。」
母親2:
「2015年12月3日に私の5人の子どもが連れ去られ、6人目ももう少しのところで連れ去られるところでした。」
こうした何千もの母親と父親が、他の仲間と共に、ノルウェーの子どもの権利を保護するための機関「Barne Vernet」と戦っています。
Barne Vernetの現状と、その職員の話
Barne Vernetの職員は、年間44000以上の家族の捜査を行っています。
その数はフランスの約3倍。
ノルウェーでは1日に4~5人の子どもが、家族から引き離されています。
Barne Vernet職員:
「子どもが子供らしい幼少時代を過ごすため、親の側ではなく、子どもの側に立つのが私の義務です。」
息子を連れ去られた若い夫婦の話
オスロから北へ数キロ離れた所に住む、若い夫婦を訪ねました。
クリスティーナとロバートは去年、息子ルーカスを授かりました。
彼らは今では息子に1年に8時間しか会うことが出来ません。
息子が1か月の時、クリスマスのお祝いの数日前に突然、警察とBarne Vernetの職員が家のドアの前に現れました。
その時、ロバートは仕事で家にいませんでした。
クリスティーナ:
「十分に別れを惜しむ時間はありませんでした。すべてが突然のことだったのです。
助けてくれるものもなく、途方にくれました。
私たちはその状況に対して、何の権限も持たなかったのです。」
ロバート:
「こんなに短期間に、そして次の瞬間にはこんなにも簡単に家族を引き裂いてしまえるなんて、ただただ理解できません。」
Barne Vernetが子どもを連れ去った理由
Barne Vernetが息子ルーカスを連れ去るのに用いた権限は
8年前、母クリスティーナがまだティーンエイジャーだった時に受けた診断書でした。
クリスティーナ:
「Barne Vernetは、私が当時軽い精神病に陥っていたと言いました。
しかしこの診断書の一番下には、私はその(精神病の)カテゴリーにはすでに含まれていないと記載してあるのです。
それでも機関は、私がまだこのカテゴリーに含まれている(精神疾患がある)と主張します。
私はその後2つの精神科にかかりましたが、そこでは私は精神疾患にはかかっていないと証明されました。」
Barne Vernetが子どもを連れ去ったもう1つの理由
クリスティーナが子どもの家族としてふさわしくないとみなされるにあたり、Barne Vernetは他の理由も挙げました。
クリスティーナの母に話を聞きました。
クリスティーナ母:
「まだ私の子どもが小さかった頃の数年間、児童相談所に助けを求めなければいけない状況がありました。
結果として、彼らは私の元から子どもたちを連れ去りました。
彼らは別々の里親に預けられた後、児童養護施設に送られました。
その生活に、クリスティーナはなかなか順応できませんでした。
そのことが理由で、Barne Vernetはクリスティーナから息子ルーカスを取り上げました。」
クリスティーナ:
「私の過去が原因で私の子どもを取り上げることができるなんて、思ってもいませんでした。
子どもを家族から引き離すということは、まず初めに調査が入り、何か重大な(子どもにとって悪影響な)理由が考えられた場合にのみ起こることだと考えていたので、、、とても失望しました。」
Barne Vernetとの話し合いには、今のところ成果がありません。
クリスティーナとロバートは、弁護士と共に、今でも裁判所で戦っています。
動画を見つけた経緯
旦那がテレビ嫌いなのでうちにはテレビがなく、私もドイツのテレビはあまり見ないのですが
このニュースを見つけたきっかけは、旦那の作った楽曲が、この動画に使われたらしいから。
今や便利な世の中。
自分の作った楽曲をインターネットに登録すると
全世界で放映されているすべてのテレビやラジオをスクリーニングして、どの楽曲がいつ、どこで、どのくらいの時間放映されたかが分かるサイトというのがあります。
そのサイトに、「旦那の楽曲がこの動画で使われた」との報告があった、のですが、、、
結局
旦那は自分の楽曲を動画内で見つけることが出来ませんでした。(なんでやねん。)
でもこの動画の内容がかなりショッキングだったため、私に見せてくれました。
特に衝撃を受けたこと
子どもを親から引き離さなければいけない理由を考えた時に、私は以下の事を思い浮かべました。
- 虐待
- ネグレクト(育児放棄)
- 経済的な理由
- そもそも両親がいない
- 両親がアルコール、またはドラッグ依存症
などなど。
みなさんも同じようなことを想像するのではないでしょうか。
私が特に衝撃を受けたのは、クリスティーナとロバートの息子ルーカスが連れ去られた理由です。
もしかしたら本当に、親にもなにかしらの不足があったのかもしれません。
ただ動画を見る限り、2人は息子を本当に愛しているように見えました。
それが、母クリスティーナの過去の軽い精神疾患、また里親や児童養護施設という特別な生活環境にうまく適応出来なかったという過去の理由で
今現在の幸せな家族の生活が一瞬にして奪われてしまったのが衝撃でした。
ちなみに:日本では
ノルウェーでの親から子どもを引き離す時の定義は、ノルウェー語の分からない私には到底調べようもないのですが
日本での子どもを保護する際の定義を見つけたので引用します。
「環境上養護を要する」児童の定義
以上のように、「保護者の健康上・経済上の理由などで監護を受けられない児童、または保護者の元で生活させるのが不適当(家庭環境が悪く、保護者のもとで生活させるのは無理)」な状況にある」と児童相談所が判断した児童。
大体が、私が上で考えたのと同じような理由です。
まとめ
日本の児童保護についてや、児童養護施設については何も知りません。
何の知識もない私が書くべき問題ではないのかもしれませんが
それでもノルウェーの「Barne Vernet」については日本ではあまり報道されない問題かと思い、記事にしました。
日本でも、子どもに対する虐待やネグレクトのニュースは決して少なくありませんよね。
そしてそのたびに、「どうすれば子どもを救うことが出来たのか」という話に至ると思います。
「児童相談所が家庭の問題にどこまで介入するべきか」という問題は、決して簡単な問題ではありません。
「子どもが子どもらしい幼少時代を過ごす手助けをしたい」という信念の下
ノルウェーの「Barne Vernet」は、子どもの権利の問題に真剣に取り組んでいるのでしょう。
彼らには彼らなりの信念があり、それが悪だとは言えません。
ただ、Barne Vernetがやりすぎだと思うのは、私だけでしょうか。
親と子の絆を、そうも簡単に壊してもいいものなのか。
長くなりましたが、読んでくださりありがとうございました。
みなさまが何かを考える一因になれば、嬉しく思います。
おわり!
コメント
だいぶ前に日本のテレビでこの内容を拝見した記憶がありました。
凄い状況になっていますね…。
日本とノルウェーの間ぐらいの理由で保護出来れば良いと思いますが、保護対象が子供だけあってその判断は難しいのでしょうね…
あかねさん、ノルウェーの妥協を許さない厳しい児童保護の報告を読み、衝撃を受けました。 現状をもっと考慮しても良いのではと?
児童保護は今や日本でも大きな問題です。
親のいないたくさんの子どもたちが、施設に保護されて暮らしているとか。。。
海外からの発信、とても意欲的ですね。
ぬぉーまんさん、コメントありがとうございます!
日本でも報道されてたんですね!し、知らなかった、、、^^;
かなりショックな内容ですよね。
家庭内のことなのでなかなか判断は難しいところだと思いますが、日本とノルウェーの間の基準があればいいのに、と私も思います!
anne nevilleさん、コメントありがとうございます!
本当に、もっと家族単位での現状を考慮すべきですよね、、、。
子供の権利を保護することも大事ですが、親のいない子どもも大きな問題ですよね。
普段はこちらのニュースはあんまり見てないんですが、このニュースはショックだったので、書いてみました><
ノルウェーだけじゃなく、北欧の国々って、とても穏やかで子供がのびのびしていて、老若男女みんな幸せ度高い、そんなイメージでいたんだけど、…本当に衝撃的。まだ1ヶ月の赤ちゃんまで連れ去るなんて…。小さな子供、だけではないけど、子供にとって家族と過ごす時間がどれほど尊くて大事なことか…。子供を守る、というよりか、逆効果な気がしてならないなぁ。
記事からすると明らかにBarneVernetの行為は行き過ぎだとおもいます。Barne Vernetの実情を調べようとしましたが、ノルウェー語だったので挫折しました。この施設内でどのような教育をしているのでしょうか。また年齢でいうと何歳まで保護するのでしょう。子供の情操教育で最も親が必要な時期にこじつけのような理由を振りかざし家族と離すというのは、ちょっと異常ですね。ヨーロッパって過去から宗教が隠れ蓑になって、教会(当然極々一部ですが)が子供を誘拐し人身売買を繰り返してきたという事実がありますから、どうもいい気はしないです。
Naomiさん、コメントありがとうございます!
北欧の国って、幸せ度が高いイメージが強いですよね。
子どもにとって家族との時間って絶対大事なはずなのに、本当に逆効果なんじゃないかと私も思います>< 子どもの権利って何だろう、とちょっと考えてしまいました。。。
きりんあっぷさん、コメントありがとうございます!
昔は人身売買をしていた教会なんてあるんですか!?ひぇ、、、(><) 私もBarne Vernetの情報を探したんですが、ノルウェー語ばっかり出てきたので諦めました; ただ英語ですが、wikiのページはありました。https://en.wikipedia.org/wiki/The_Norwegian_Child_Welfare_Services 教育の内容までは載っていませんでしたが、子どもは17歳まで保護するようです。18歳~22歳の子ども(もう大人ですが)はfollow-up careになるようです。 本当に、いい気はしないですよね、、、。保護を必要としている子どもも残念ながらいるとは思いますが、子どもを家族から引き離すにはそれなりの理由があってしかるべきだと思います。
あかねさん、さっそく英語版WIKiでみてみました、ありがとうございます。しかし、17歳まで保護するって、それまでの育児や、親子間のふれあいの時間が奪われるのですよね、これは酷いですね。なんのための家族なのか。日本の場合は、事件にならないと介入できないケースが多いだけに2国間の中庸ってできないのか、と真剣に考えてしまいました。
突然のコメント失礼いたします。海外の動画サイトでノルウェーの「Barne Vernet」について知り、調べたところこちらのサイトにたどり着きました。
日本語で分かりやすくまとめてくださって、ありがとうございます。
そこには「子供の抜歯を手伝った」という理由で子供を取り上げられたケースもあると、述べていました。「虐待」の定義があまりにも厳しすぎるのではないでしょうか。
こんな状況では、ノルウェーではビクビクしながら子育てをしなくてはいけないように思えます。
子供の一番大切な時期に「家族団らん」の機会を奪われるとは、動画を見ていて辛くなりました。。。
(In The Nowという海外動画サイトのFacebook版です)
とりあんさん、コメントありがとうございます!
in the Nowの動画、私も観てみました。
本当にビックリする事実ですよね、、、。抜歯を手伝っただけで子どもを取り上げられてしまうなんて。
悪い親のせいで苦しんでいる子どもが居るのも事実だとは思いますが、おっしゃる通り「虐待」の定義があまりに厳しすぎるように感じます。
私が紹介した例だとそもそも、子どもに手をあげたりあげようとした訳でもないのに、、、。「こういう人が子どもに悪い影響を与えやすい」という研究結果だけで子どもを取り上げるのは、あまりにも酷すぎる。。。
ノルウェーでの出来事なのでなかなか情報が入ってきませんが、多くの親がBarne Vernetを恐れながら子育てをしているのは想像に難くありませんよね。
ノルウェー人に会う機会があれば、Barne Vernetについてどう思っているのか、1度意見を聞いてみたいところです。
貴重な情報提供ありがとうございます。その後の動向なども教えて頂けるとありがたいです。日本でも深刻な問題になってきており、先日、日本政府は国連から「一時保護廃止勧告」されましたが、無視を続けています。
日本児相被害団体さん、コメントありがとうございます!
参考にしていただいて嬉しいです!
この記事は数年前にドイツのテレビで放送していた1回きりのドキュメンタリー番組を元に書いたので、その後の動向は残念ながら分かりません。
日本でもこのようなことが問題になってきているとは知りませんでした、、、。国連からの勧告を無視し続けているなんて、異常な状態ですね。