このブログのタイトルにもある通り
私のドイツ人旦那はストリートミュージシャンです。
ストリート以外での演奏や、音楽制作活動など他のプロジェクトもあるのですが
とにかく音楽を演奏することによってお金をもらっているプロのミュージシャンです。
今回は、プロのミュージシャンである旦那の仕事に関して起こったことを書きます。
7月1日土曜日、旦那のいとこの結婚式に招待された
旦那のいとこの結婚式に招待されました。
とは言っても、旦那はそのいとこには20年以上会っていないそうで
結婚式も、旦那の両親を介して招待されました。
結婚式は、7月1日の土曜日。
土曜日は、ストリートミュージシャンの旦那にしてみれば週で1番稼げる日です。
でも、結婚式って大体土曜日ですよね、、、。
こればっかりは、しょうがない。
というわけで
5月に日本に一時帰国した時に結婚式で渡すプレゼントなんかも買ってきて、準備は万端でした。
(ドイツの結婚式では、現金よりプレゼントを渡す方が一般的。)
結婚式に招待された同じ日に、別の結婚式での演奏依頼が入った
ストリートで演奏している旦那を見て、コンタクトを取ってくれた方がいました。
その方は7月1日の土曜日に結婚式を挙げるそうで
「自分たちの結婚式で、ぜひ旦那に演奏してほしい!」という仕事の依頼でした。
結婚式の依頼はもらえるお金が大きい上に、私たちは4月にこの地域に引っ越してきたばかり。
今住んでいる地域でのコネを広げたい旦那にとってはとても魅力的な仕事のオファーでした。
ダブルブッキングは避けたい、、、
しかし、7月1日は既に旦那のいとこの結婚式が入っています。
でも、この仕事のオファーはとても魅力的。
困った旦那は、旦那の両親に連絡を取ってみることにしました。
もし可能であれば
いとこの結婚式前日に行われる前祝い(BBQ)にだけ参加できるかどうか。
もしくは結婚式に少し遅れていくことは可能かどうか。
この両親との電話が、トラブルの始まりでした。
旦那が知らないうちに、いとこの結婚式で演奏することになっていた
旦那が旦那のお母さんに電話をすると
「そうなの?でも、いとこの結婚式で演奏することになってたよね?」
という返事が返ってきました。
いとこの結婚式で自分が演奏することになっているなんて知らなかった旦那は、当然ビックリ。
まさに寝耳に水な話でした。
原因は、旦那のお父さん
どうやら旦那のお父さんが、いとこに言ってしまったみたいなんですよね。
「結婚式では、旦那が演奏してくれるよ」と。
旦那に事前確認(しかも事後確認も)なしに。
このことに関して、旦那は激怒。
「いとこの結婚式には行かない!」と言い出しました。
おぉーう。待て待てぃ、、、。
何がそんなに旦那を怒らせたのか
旦那はプロのミュージシャンです。
音楽を演奏することによって、収入を得ています。
音楽でどのくらいの収入を得るかはミュージシャンによって違いますが
いとこの結婚式と同じ7月1日に演奏依頼の入った結婚式では、500ユーロ(約6万2千円)の収入を得る予定です。
それなのに
旦那のお父さんは「旦那が無料で演奏する」ことを勝手に決めてしまいました。
プロのミュージシャンの演奏は、タダではない
音楽で収入を得るプロのミュージシャンにとって、音楽を演奏することはタダではありません。
それ故、旦那のストリートミュージシャンという職業も成り立っているわけですが
何より旦那の身内であるお父さんがミュージシャンという職業を理解していないことが、旦那にとって腹立たしく、悲しいことだったようです。
結婚式に招待されることと、そこで何かを披露することは別物
20年以上何の連絡もなかったいとこが、ましてや私は会ったこともない人達なわけですが
結婚式という晴れ舞台に招待してくれること自体は、素敵なことです。
ただ
結婚式にミュージシャンを招待する=生演奏してもらえるということではないということです。
今回の場合、実際に結婚式を挙げるいとこが悪いわけではないんですけどね。
そりゃ、旦那のお父さんに
「旦那が結婚式で演奏してくれるってよ!」
と言われたら、いとこも
「あら、そうなの!?嬉しい!」
となることでしょう。
実際、結婚式で生演奏して欲しいという依頼は多いので。
あくまでも今回の問題は
旦那のお父さんが勝手に、旦那が演奏することを決めてしまったこと。
「身内の結婚式なんだから」というのは関係ない
「ミュージシャンなんだから」
「身内のめでたい結婚式なんだから」
そういう事ではありません。
身内の結婚式で、また仲のいい友達の結婚式で、プロのミュージシャンが演奏するということももちろんあるでしょう。
実際、私たちの結婚式では
プロのミュージシャンとして活動している旦那の友達たちが、素敵な演奏を披露してくれました。
それは
私たちが「ミュージシャンなんだから、演奏してくれてもいいでしょ?」と期待したわけではなく
プロのミュージシャンである友達たちが、結婚祝いとして演奏をプレゼントしてくれたからです。
プレゼントは無償のものですが、それは決して無償のものではないですよね。
ちょっと日本語がおかしいですが、、、。
そもそも
そのいとことは20年以上会っていなかったわけだし
そのいとこは、私たちの結婚式にも来てくれませんでした。
別にそのいとこが嫌いとか、そういう訳ではありませんが
「なぜ、無償で演奏しなければいけないのか。」
というのが、旦那の正直な気持ちのようです。
まとめ
今回は
プロのミュージシャンの演奏の価値について書きました。
もし私が
「音楽が演奏できるんだから、身内の結婚式なんだから、演奏してくれたっていいじゃないか」
と言われたら、報酬がなくとも演奏していたと思います。
ただ、私はプロのミュージシャンではないので「家族」や「身内」という感情を優先させているだけなのだと思います。
今回旦那を怒らせてしまった旦那のお父さんも「息子の素晴らしい演奏を、ぜひ身内に聞かせたい!」くらいのノリだったとは思うんですよね、、、。
ただ
プロのミュージシャンにとっては音楽は、音楽=仕事=お金という死活問題でもあるので
収益を上げ、自分の商売を維持するために感情を抜きにして考えなくてはならないこともあります。
音楽を演奏するのも疲れるようで
このところ連日ストリートで演奏している旦那は、ひどく疲弊してます。
そんな状態の中で起こった、今回の問題。
私も、いろいろと考えるところがありました。
私自身、ミュージシャンという職業を舐めていたのかもしれません。
自分ではそんな自覚はないのですが
「音楽を演奏するなんて、簡単でしょう?」と思っていなかったと言えば、嘘になります。
ミュージシャンの演奏の価値について。
音楽で食べていくことについて。
音楽は趣味でやる人もいれば、職業としてやる人もいます。
だからこそ、音楽を演奏することに関していろんな価値観を持った人がいます。
音楽を職業としている旦那のような人にとって
タダで演奏することが当たり前というスタンスはとても失礼だということを、私自身再確認した出来事でした。
これはミュージシャンだけの問題ではなく、ありとあらゆる芸術家にも同じことが言えるのではないかと思います。
芸術家という職業は、普通の職業とは違い前例がないことが多いですが
そのような「職の多様性」に関して、もっと理解を深めなければいけないと思った出来事でした。
おわり!
コメント
なんだかその後どうなったか心配ですね(*´ω`*)お父さんの気持ちもわからないでは無いですが。。。タイミングが相当悪かったですよね。新しい土地で、大きなコネクションに繋がる仕事の依頼はとても大切ですから。
anne nevilleさん、コメントありがとうございます!
その後旦那の両親がいとこに話をすることになったんですが、まだ連絡が来ませんね、、、^^; いったいどうなることやら。。。
お義父さんの気持ちも分からなくはないのですが、旦那の反応を見て改めてミュージシャンという職業について考え直しました。
コネクションが大事なのはどこの業界でも同じかもしれませんね!
日本人は とかく その人の持つ知識や技術はタダだと思う傾向がある と何かで見ました。
お友達の美容師さんに前髪をちょっと切ってもらいたい、ちょっとだからタダ(あるいは安く)で。という感じで。
ウチの旦那も資格のいる仕事をしていますが、たまに「ちょっと聞いてみてほしい」と仕事がらみの依頼をされます。自分の担当の方に聞いてみたら?と言うと「聞きにくいから」と言われたりしますが、それでなんでウチの旦那が仕事の手を止めて調べたり考えたり説明したりしないといけないのか?と思ってしまいます。
話がそれましたが、アカネさんのご主人の腹立ちは当然だと思います。プライド持って仕事しておられるでしょうから。
追加です!(笑)
ご主人のお父様も お祝いだから プレゼントととして演奏してくれるだろう って、きっと軽い気持ちだったんでしょうね!
ご主人さまにひとこと先に断らなかったことが一番な原因かなぁ?
お仕事の結婚式も いとこさんの結婚式も、両方ともいい形で参加できますように と願ってます!
loco_chan914さん、コメントありがとうございます!
確かに日本人も、知識や技術はサービスだと思う傾向があるかもしませんね!
美容師の例、とても分かりやすかったです!「友達だから」ではダメですよね^^; 自分も気をつけようと思いました、、、!
旦那様の場合もその知識を勉強して仕事として使っているんだから、聞きにくいからってこっちに聞かれても困っちゃいますよね(汗)
お義父さんも、本当に軽い気持ちだったとは思うんですが、、、。結局、いとこの結婚式の方には前夜祭の参加になりそうです!
我々一般参加者の余興との線引きがなされていなかったのですね。プロの方は生業ですからね。確かにご主人のお父さんは、軽い気もちで云ってしまったのでしょうね。しかし20年以上も会ってないいとこに歌を..といきなりいわれてもホント、カタチだけになってしまうような気がしますね~。ご主人が依頼された正式なオファーは本当にチャンスだとおもいます。地域へ“顔”を売るための絶好の機会です!!うまくおさまることを祈っております。
きりんあっぷさん、コメントありがとうございます!
その通りです!一般参加の余興との線引きがありませんでした。
とは言っても、ドイツの結婚式では日本のような余興もあまりないんですけどね^^;
お義父さんの気持ちも分かるので旦那とのやりとりを見ててハラハラしちゃったんですが、プロとして旦那のスタンスは間違っていないのかなと思います。
実はその日は2つ結婚式のオファーがあったんですが、1つは既に折り合いがつかずキャンセルになったので、もう1つ最初にオファーのあった方で演奏する予定です!
いとこの結婚式は、前夜祭と当日の朝ごはんだけ参加することになりました。お気遣い、ありがとうございます!