【タイ】外国人料金・二重価格は差別だ

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観光大国・タイ。
 
どの都市に1番多くの観光客が来ているかを測る「2017世界の観光都市ランキングによると
タイの首都バンコクは、ロンドンやパリを抜いて2位という結果だそうです。
 
そんな観光大国・タイに旅行に行くと、必ず目にするのが「外国人料金」と呼ばれる二重価格。
 
今回は、その外国人料金についての話です。
 
 

外国人料金とは

タイの観光スポットや博物館・国立公園の入場料金、またホテルやレストランで払う料金には
タイ人が払う価格の他に「外国人料金」と呼ばれる外国人に対する価格を設定しているところが数多く存在する。
 
タイの多くの場所では同じサービスを受けているにも関わらず、外国人はタイ人よりも多くお金を払わなくてはいけないというダブルスタンダードが存在している。
 

タイ在住の外国人も例外ではなくなった

タイ在住の外国人は、以前はタイの免許証労働許可証を見せることでタイ人価格が適用されたようだが
最近規定が変わったらしく、外国人は一律で外国人料金を払わなくてはいけなくなった。
こちらの記事によると

「国立公園当局からの外国人の入園規則変更」の通達

というものがあったらしく
国立公園内にある温泉などの施設では、タイに住んでいようがタイの運転免許を持っていようが外国人は一律に外国人料金を取られるようになったらしい。
 
「国立公園当局からの通達」ということはつまり外国人料金は国公認で行われている ということだ。
 
タイで生まれ育ち、タイ人と同様の教育・生活を送って来たアメリカ人が
タイ人の友達と温泉に出かけた際に1人だけ外国人料金を請求されたというニュースも話題になっている。
 

外国人料金の例

タイに来るのは今回で2度目だが、私自身もその間に様々な外国人料金を経験した。
 
  • チェンマイ空港から街までの乗り合いバス
    一緒に乗った現地の人は2人で20バーツ。
    一方、ほぼ同じ距離を乗った私たちは2人で150バーツだった。

    お客のタイ人女性2人は、お金を渡す際私たちに見えないように紙幣をものすごく小さく畳んで運転手に渡していたので、客である女性達にも外国人料金という概念があったものと思われる。

    2年前に同じ距離を乗った時は2人で60バーツだったのだが、ここ2年で料金体系が変わったらしくタクシーでもバスでも一律で150バーツとなっていた。

    チェンマイ空港から街中まではそう遠くないので、タクシーのメーターを使えば絶対に150バーツはかからないのに、だ。

  • 国立公園内の温泉の入泉料
    外国人にも人気のターパイ(Tha Pai)温泉に行った時のこと。

    現地の人は1人20バーツで、外国人は1人400バーツであった。

    外国人はタイ人より20倍多い料金を払わされることになる。

  • レストランにて
    食事を済ませお会計をしようとすると、英語が喋れない店主の代わりに隣の店のおばさんが40バーツを請求してきた。

    拙い英語の店主はその後、会計は35バーツだと告げた。

 

理屈は分からなくもない

「外国人でしょ?
私たちよりお金持ってるんでしょ?
だからお金を多く払うのは当たり前。」
 
外国人料金を請求する背景にはタイという国の貧しさがある。
 
「平均年収.jp」によると
日本人の平均年収は416万円。
一方、タイ人の平均年収は115万円。
 
ただしタイでは所得の格差が大きく、上記の数字は上位の職業に就いている人の平均年収ということになるようだ。
 
経済的に豊かな国に住んでいて、旅行という遊びのためにタイに来る外国人。
一方、所得の少ないタイ人の暮らしは、はたから見てもいいものだとは言えない。
 
現地に住むタイ人とタイに来る外国人は経済的に平等ではないのに、なぜ平等な価格で商品・サービスを売らなくてはいけないのか。
 
その考え方は、分からなくもない。
 
またタイは仏教国なので
お金を持つ人は、持たない人に分け与えるべき
という仏教的な考え方も、背景にはあるのかもしれない。
 

それでも、外国人価格は差別だ

人を外見や国籍によって差別する。
 
国際社会で人種差別がタブーとなって久しいが、タイが国をあげて行っている「外国人料金」という制度は差別だ。
 
例えば、外国人料金を日本に置き換えた場合。
 
日本人には500円の温泉料金を、外国人からは1万円取ってもいいのか?
 
日本人には500円のランチを、外国人には1000円で売ってもいいのか?
 
答えはもちろん「NO」だ。
 
日本でも、私が住んでいるドイツでも
外国人だからという理由で値段を変えれば、それは人種差別となる
 

外国人料金はタイ国内の所得格差を広げるだけ

タイでは国民の所得格差が大きな問題となっている。
 
バンコク以外では農業・林業・飲食店などの就労人数が最も多いと言われているタイだが、観光地以外の場所で働く人にとって、外国人料金による恩恵は少ない。
 
外国人料金によって得をするのは
放っておいても観光客の押し寄せるバンコクやチェンマイ、パタヤやその他リゾート島に住む人達ばかり。
 
「観光地」というビジネスに好条件な場所に住む彼らは、更に外国人料金を手にすることで得をするが
地方に住む貧しい人々がその金を手にすることはない。
 
 
タイ第2の都市チェンマイで実際にあったことだが
チェンマイ中心街のナイトマーケットでは50バーツだったヌードルスープが、中心街から5kmほど離れた店では20バーツで食べられた。

観光客による恩恵が少ない場所ほど、外国人料金を取る店も少ないのはなぜなのか。
 
味も清潔さもほぼ同じなのに、店を出す場所が5km違うだけでもこの違いだ。
 
タイ人と外国人の不平等さを無くすための外国人料金が結局、タイ国内での貧富の差を広めてしまっているのではないだろうか。
 

チップ制度のある海外からの客も、外国人料金があるとチップを払いたくなくなる

少し話が脱線するが、先日タイの田舎で経験したチップに関する話を紹介する。
 
 
チェンマイの南に、外国人はあまり行かない「Hot」という町がある。
私と旦那がバイクでその町に向かっていた時、道の途中でタイヤがパンクしてしまった。
後輪を見ると、大きなクギが刺さっていた。
 
Hotまでは、まだあと10kmほどある。
 
どうしようかと途方に暮れていた所、運良く道の反対側に小さなバイクの修理店を見つけた。
 
家の玄関部分を利用して、男性が1人で切り盛りしている店らしい。
 
店主は英語を全く介さなかったが、バイクの状態を見てすぐ修理に取り掛かってくれた。

バイクからタイヤを外し、タイヤからチューブを引き出し、新しいチューブに変える。
 
新しいチューブを入れる店主を見て
「チューブの穴を塞ぐだけなら安く済むはずなのに、私達が外国人だから新しいチューブを入れているのかな?あぁ、これは高くつくかもしれない、、、」
と疑心暗鬼に陥った私と旦那。
 
新しいチューブを入れ、テキパキと修理を終えた店主が私達に請求したのは
なんと100バーツ(約350円)という値段だった。
 
私がドイツで自転車のチューブを新しくした時は、20ユーロ(約2700円)というお金がかかった。
 
物価の安いタイと言えど、修理の際に使用したのは新品のバイクのチューブ。
 
500バーツ(約1730円)から1000バーツ(約3460円)ほどの値段を覚悟していた私達は、バイクの修理が100バーツ(約350円)という値段は想像していなかった。
 
旦那は咄嗟に、チップ込みで200バート を店主に支払っていた。
 
 
ドイツもそうだが、良いサービスを受けた際にはチップを払って感謝を示す国もある。
 
私達は休暇を安く済ませようと思ってタイに来ているわけで、様々な物の値段も出来れば安く済ませたい。
 
そこに「外国人料金でぼったくってやろう」という売る側の下心が見えると、チップを払おうという気持ちなど尚更起こらなくなる。
 
また外国人料金を請求されると「この店は外国人には来て欲しくないのかな?」という気持ちにもなる。
 
しかし上記のバイク修理店では
安くて早いサービス、何より外国人である私達をぼったくろうとしなかった ことに感動し、チップを払うことで店主に感謝を示した。
 
「外国人料金の代わりにチップ制度を採用したらいいのではないか」と考えていた時期もあったが
チップ制度は結局外国人からのチップを期待することになるので、良いアイディアとは言えない。
 
しかし、チップ制度の方が外国人料金よりはよっぽど自然なことではある。
 

まとめ

今回の記事では
タイの外国人料金について書きました。
 
私はタイ以外での経験はないのですが、外国人料金を取る国というのは他にもあるようですね。
 
外国人料金の理屈は分からなくもないんですが
それでも外国人だからという理由で同じサービスに割高な値段を請求するのは差別だと考えます。
 
外国人料金を請求される度に嫌な気分になるし、それも1度や2度でなくかなりの頻度で起こるのだから本当に嫌になる。
 
良いサービスに対する対価が安すぎると感じた時はチップをあげるようにしているのですが、そのことが果たして本当に良いことなのかは分かりません。
 
外国人料金の根本的な解決策も思い浮かびそうにないですし、この悪しき習慣は残念ながらまだまだ続いていきそうです。
 

追記:

タイ人で現地に住むPasserbyさんがタイでぼったくりに合った際の対処法を教えて下さったので、追記しておきます。
 
まずは、ぼったくりの証拠(メニューに載っている実際の値段の写真など)を集めてください。
 
ぼったくりに合った際の通報先としては、以下の2つが挙げられます:
  1. ツーリスト警察(タイ国内での電話番号:1155)または普通の警察
  2. Consumer Protection Board (OCPB)
    タイ国内での電話番号:1166

 

もしアンフェアな価格を吹っ掛けられたら、このような機関に通報するのも手です。

 

おわり!

コメント

  1. kirinup より:

    これは、難しいですね、根本には書かれているように貧困があるのでしょうね。もうずいぶん前、20代の頃にアジアを旅して….いや〜素晴らしい体験だったのですが、どこにいっても物乞い(しかも親が子供にさせている)が凄まじくて嫌になったことがあります。国が公認というのも、考えさせられますね。

  2. oclife より:

    え~タイにこんな一面が。これは何から何までそうなわけじゃなくて、一部だけなのかしら?それとも大体、外国人価格とタイ人価格に別れているのかしら。
    知らなかった。
    タイ国内外で問題視されてないんでしょうかね。

  3. akane1033 より:

    きりんあっぷさん、コメントありがとうございます!
    本当に難しい問題だと思います。理屈は分からなくもないんですけどね、、、。もう少し制度化してくれれば気持ち的にもいいのかな。観光税とか?そうすれば国中にお金も行き渡るようになるのかとか、、、うーん。
    物乞いも多いところは多いですよね。現在は特にバンコクなどの大都市に多いイメージです。足がない人が地面を這いつくばりながら物乞いしている姿などは、本当に見るに耐えません。

  4. Passerby より:

    I graduated in economics so I do understand. 🙂
    First let separate the price of common goods and the fee of ticket. For the first one, it something we don’t like the sellers to charge you guys as higher prices either. Like I said in other post, they are short-sighted. We economist can explain their incentive about this phenominun, but it would be too academic. So just conclude that we don’t like it either.
    Now for the fee of ticket, esp. any gov. supported attraction ie. museums, national park, zoo, etc. As far as I know JP does not charge separate prices between locals and tourists. Some country do that too, but not all. In fact what we do is really common and it happen around you in other forms. Economist called it “Price discriminate” It’s in any fundamental economics textbooks I’ve read–both Thai and foreign. You can study about it (and other forms of this type of charging) at http://en.wikipedia.org/wiki/Price_discrimination.
    This is not happened just in TH. Other countries also do. For example Mexico (http://www.chichen-itza-tour.net/information/chichen-itza-entrance-fee), the fee of Hanauma Bay in Hawaii (state resident gee is lower than non-state resident, even those non-state are American), or, from what I’ve read, the Hungarian paliament which has EU and Non-EU prices.
    Now if you ask for reasons behind this price discrimination, there are many. One, which is the easiest to understand, is that the local pay income tax, which would be use (by the government) to maintain this attraction.
    According to Thai law any foreigner who work in TH will also be charged as local if you bring your work permit with you.

  5. akane1033 より:

    Gさん、コメントありがとうございます!
    タイ人価格と外国人価格がはっきりと明記されているのは有名な観光スポットくらいだと思います。
    あとは個人的に外国人から多めにお金を取っている人がいます。これは価格をローマ数字で表示していないレストランや店などです。
    隣の席で同じもの食べてるタイ人のおっちゃんは20バート払っていて、私たちには40バートということが何度かありました。
    もちろんタイ人価格で売ってくれる人もいますが、少しでも外国人で美味しい思いをしたことがある人は値段を上げている印象です。
    タイ語も分からないし、どうしようもないんですけどね、、、まぁ外国人プライスでも安いしいっか、となって終わることが多いです。
    あんまりニュースでは見ないことですが、外国人価格はタイ以外の国でも横行してるようなので、みんな実質目をつぶっているのではないかと思います。

  6. akane1033 より:

    Hi Passerby, thank you for your comment!
    I’m so happy that I can hear the locals ideas about this issue 🙂
    That may be true that there are many ways of “Price Discrimination”. Different tax late for rich and poor people must be the one too.
    I also understand that price discrimination for foreigners is everywhere. Not only in TH, but also many other Asian country (and even in western country).
    I don’t know how much income tax the locals pay, but I still think that’s too much for us to pay double or 10 times as much for the same service.
    We are all paying income tax in our own country. In some countries we have to pay that again when we travel, and in some countries not. That sounds for me a bit unfair. Especially for the people like us who are not earning mega money…..:'(
    Anyways, foreigner price is still cheaper than what we pay in Germany or Japan most of the time. That’s how we manage this issue. As I said in the article, I kind of understand why there is such thing and it’s also hard to find an alternative plan for it.
    I will be happier though, if foreigner price will be changed as a travel tax, for example. In that way that money will be used for good things for everybody in TH, not only the people who are working in touristic places and get a lot of money from tourists anyway.
    By the way, I have heard that now the TH gourvernment charge foreigner price for foreigners who are living and working in TH. See the referenced airticle in my article.
    I hope you don’t get my comment as personal….. I’m grad to be able to know that how you think about this problem!

  7. anneneville より:

    確か空港からのバスは皆と同じ料金だったと思う。しかしバンコクの中で外食は高い所と普通?の所があったので”おかしい。。。”とは思っていたら。高いと感じたところへは二度と近づかなかったです。しかしあかねさんの記事読むまでそんなスタンダードが存在するとは知らなかったです。そうでしたか~。。。でもわたしの年収は日本人平均をはるかに下回り、タイの人より低いかもです。。。(-_-)ま、そんな事はタイの人に通じませんしね。。。タクシー、客のいない可哀そうなおっちゃんのに乗ってあげたことがありますが激安でした、バンコクで。確かに貧富の差の貧を感じさせる貴重なエピソードでしたよ。(>_<)その田舎町のバイク修理屋さん、本当にあった感動する話ですね!

  8. Passerby より:

    Sorry to bother you again. There was a news which remind me of your situation regarding the double price of the common good.
    If you face the situation which sellers charge you too high (more than they said they would charge at the first time of negotiation or higher than the price they printed on menu) again, please take some evidences ie. clips or photo of the menu. And then.
    1. If you can, report to the police. Tourist police (recommend) or just normal police, then
    2. Report to 1166 (Tel. number) It’s the Office of the Consumer Protection Board (OCPB) Here’s their website in English: http://www.ocpb.go.th/ewtadmin/ewt/ocpb_eng/main.php?filename=index___EN
    And/or
    3. Send your evidence to https://www.facebook.com/queentogetherisone/ It’s the private website which focus on any unfair cases in the society. They cannnot do anything to the sallers but, since this page is quite popular, the issue ususally be picked by medias and then the gov.
    That’s it. BTW warn you in advance:if you ride in CM, be careful. The police is quite strict since last year (which is good in Thai’s view). However if you do nothing wrong, they would let you go easily. Be prepare for documents (international driver licence, etc.) and safty like helmet or sealtbelt.
    Have a good day. 🙂

  9. akane1033 より:

    anne nevilleさん、コメントありがとうございます!
    バンコクなどの観光地は特に多いかもしれませんね(>_<)日本でもある「観光地プライス」という例もあるので一概には言えませんが。。。 もちろんみんな同じ値段の場所もあるので、レストランは良心的な値段の所を選びたいですよね!私達の収入も雀の涙なので、、、(泣)とは言っても、タイの貧困層とは比べものにならないとは思いますが^^; タイの貧富の差は、バンコクだと特に目に付きますよね。ぼったくりタクシーよりは、ぜひそんなおっちゃんのタクシーに乗りたいです!

  10. akane1033 より:

    Passerby,
    Thank you for your tips!
    I will add those 3 information in the airticle 🙂
    We will also careful about riding bike!
    Cheers

  11. hutottyo3 より:

    僕は外国人料金の価格差があった方がいいな。東南アジアを旅行していると物価の差があまりにあって、価格が安すぎて妥当とは思えない。
    外国人向けの料金の場合は宝くじ付きレシート発行しするとか、売り上げの一部をツーリスト警察、窓口の拡充や浸透に充てるようにしてもらえると嬉しい。
    価格差はないけど、外国人旅行客を想定していない国の方が旅行しづらいと思う

  12. akane1033 より:

    hutottyo3さん、コメントありがとうございます!
    確かに東南アジアは安いですよね!
    安いから観光客が来て国内が潤うっていうのもあるとは思うんですが、その利益が末端まで行き届いているのかどうか、、、。
    そして確かに、ある程度外国人観光客を想定して商売している所の方が旅行しやすいというのもありますね!
    外国人料金は、取り方の問題でもあるのかなぁ、、、。仰るとおり、観光業を営む人だけでなく社会に還元されるような仕組みがあればいいのかなと思います!

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